2021/04/28
2021年(令和3年)4月28日
民法等の一部を改正する法律等の成立を受けて(会長声明)
~相続登記の義務付けに向けた司法書士の役割~
宮崎県司法書士会
会長 石灘 寬樹
令和3年4月21日、民法等の一部を改正する法律及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律が成立しました。
所有者不明土地問題が国土の公共的活用等に関連する喫緊の課題となっているところ、これらの法律案の成立によって、その予防及び解消に関する民事基本法制が概ね整備されたことになります。
今般の法律改正によって、所有権の登記名義人につき相続が発生した場合、原則として、相続人には、3年以内に相続の登記を申請しなければならないという義務が課せられます。期限内に相続の登記を申請するには、出生から死亡までの戸籍事項証明書等の取得を始めとした様々な前提事務処理を行わなければならず、国民にとって、負担になることが想定されます。
全国の司法書士会で組織する日本司法書士会連合会は、国民にとって過度な負担とならないよう、より簡易な手続で相続の登記の申請義務を履行したとみなされる等の制度を設けることを提言してまいりました。今般の改正では、この提言に沿う形で相続人申告登記が創設されており、国民の負担を最小限にするものと考えます。
この相続人申告登記は、相続発生の事実及び相続人の一部を公示するものであることから、確定的な権利の登記申請につなげるための過渡的な手続きとして位置付けられるでしょう。
したがいまして、問題の出発点である所有者不明土地の発生防止という観点からすれば、できる限り、遺産分割協議を経た上で確定的に権利を取得した相続人の名義とする登記の申請を行うべきと考えます。
相続登記の申請の義務化をはじめ、相続によって承継した土地所有権の国庫帰属制度や、所有者不明土地管理人に代表される各種の財産管理人制度等、国民生活に与える影響が大きい事項について、当会は市民に対してきめ細やかにサポートを実施していく予定です。その対策の一つとして、従来から設置している『相続・遺言相談センター(予約電話0985-28-8538)』や『司法書士ホットライン(0120-969-657)』のほかに、相続相談に応じる全国統一の受付フリーダイヤル「相続登記相談センター」(0120-13-7832<いさんのなやみに>)を本年3月1日より稼働させています。相続登記及び登記全般に関する相談について、市民が司法書士会及び司法書士に気軽に相談できる窓口としてぜひご活用いただきたいと思います。
司法書士は、「登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家」として、多くの相続事件に関与しています。今後も、身近なくらしの中の法律家として、改正法にいち早く対応し、国民の権利擁護に資する所存です。
以上